遠州まほろばの会

F-35A事故調査結果について

4月に発生したF-35Aの事故原因について、「空間識失調」を事故原因と推定する調査結果が防衛省から発表されました。

F35操縦士「空間識失調」か、脱出試みなし
(https://www.yomiuri.co.jp/national/20190610-OYT1T50028/)

記事によれば、約30,000ftで飛行中に付近を飛行中の米軍機を回避するために降下を指示されたが、左旋回で異常な高速で降下を続け、35秒ほどで墜落した。その間、姿勢回復操作は行われず、緊急脱出もしていないことから、空間識失調の可能性と指摘している。
TVでは、墜落時には音速に近い速度に達していたとも報道していました。

疑問がいくつかあります。
まず、音速に近い速度で海面に激突したならば、機体はバラバラになってしまいます。航空機の機体にはハニカム構造等、海面に浮かぶ部品、部位が多く使われているが、捜索初動時に発見されたのは尾翼の一部(多分片側の垂直尾翼と水平尾翼でしょう)だけでした。もっと細かな破片等が浮遊していて当然だと考えます。

当該機操縦士は、降下の途中で「knock it off」と送信しているとなっています。これを言うからには降下を指示された時には相手機へ指向された後(要するに戦闘開始後)ということになり、セットアップが崩されたということから降下開始時に「knock it off]を指示するはずです。順番が状況と合いません。
また、他機との接近を避ける場合、通常は方位を変えさせます。セットアップを有効に保持するために高度変更で対処しようとするなら、1万ft以上も降下させたりしません。当該機は左旋回で降下を始めたとあるが、この状況と操作とのマッチングは理解に苦しみます。

米軍機の接近からの回避指示を出すくらいですから、当該機はSIF(トランスポンダー)を作動させて訓練していたはずです。であれば、SIFのモードCで当該機の高度も逐一モニターできたはずであり、何らかの指示・アドバイスもされて良い状況と思います。管制官がそこまで気が回らなくても、もっと早い時期に事故時の状況として公表されて良いのではないだろうか?

夜間飛行は基本的に計器飛行です。急激な姿勢変化は通常行わず、姿勢判断や速度、高度については昼間(有視界飛行)以上に頻繁にチェックします。
数十秒間に渡ってチェックされず、降下にも関わらずパワーがMAXに近いと言っていましたが(TV報道、多分ミリタリー(アフターバーナー不使用)の間違いでしょう)、これも通常の操作ではあり得ません。

なぜ今頃になって「接近中の米軍機を避けるため・・」などという話が唐突に出て来るのか。事故の翌日にも判明しているはずで、隠さなければならないものでもないと思いますが・・・。

はっきり言って、調査した結果というよりも作り上げたという印象が強い。

空間識失調の可能性については、私もそれに同意です。想定する状況は事故調査のそれとは異なりますが。
私の同期も鹿島灘沖でF-15とともに海没し殉職しました。彼は最後に「バーティゴ(空間識失調)」の一言を残しましたが、空自の事故では唯一のものと覚えます。
この事故対策として、松島基地に”バーティゴ・シミュレーター”が作られました。これは、訓練によってバーティゴに入らなくしようというものではなく、いくつかのパターンを経験させ、バーティゴから逃れるのは計器飛行に徹するしかないことを実感させるためのものです。海上自衛隊からも良く研修に来ていました。
3.11での被害はどうだったのでしょう。場所的にはアウトだったと思いますが、今一度その必要性・有用性を思い起こして貰いたいものです。




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